大和大学 大志を、まとえ。

検索したいワードをいれて検索してください

またはサイトマップもご覧ください

人間の五感を超える「ハイパーセンシング」で、
社会の可能性を切り拓く

片山 琢磨教授


理工学部 電気電子情報工学専攻
研究テーマ

見えない光や聞こえない音を検知し、
社会の課題解決につなげる

片山教授が研究している「ハイパーセンシング」は、人間の五感では捉えられない光や音などをエレクトロニクスで検知する技術です。赤外光・紫外光・超音波などを対象に、レーザーやLED、分光器、超音波機器を組み合わせ、これまで見えなかった現象をデータとして捉えようとしています。モノづくりの知能化や環境モニタリング、フィジカルAIなどへの応用が期待されており、五感では捉えられない情報を可視化し、社会の課題解決につなげる研究です。

人間の目や耳ではわからない情報を、
データとして捉える技術

人間には見えない光や聞こえない音まで検知する「ハイパーセンシング」。そもそもセンシングとは、光や音などの情報を検知し、データとして捉える技術です。ハイパーセンシングは、その対象を人間の五感を超えた領域まで広げるもの。片山教授は、光と音を中心に、目や耳では捉えられない情報を読み取るデバイスやシステムの開発に取り組んでいます。
「ハイパーセンシングとは、人間の五感を超越する電子知覚のこと。例えば、人間には見えない赤外光や紫外光、人間には聞こえない超音波などをセンシングの対象にしています。特に光と音に着目し、レーザーやLEDなどの光源、分光器、超音波の発信機や受信機などを組み合わせながら、目や耳では捉えられない情報を検知していきます」

その応用先として期待されているのが、モノづくりの知能化やデータ化、自動化、安全・安心な環境のモニタリング、フィジカルAIのセンシング高度化です。例えば、化学品や食品、薬品などの製造現場では、これまで勘や経験に頼っていた製造工程の状態をデータで捉え、物質の濃度や分子構造などを非接触でリアルタイムに把握することが可能に。さらに、環境中の微細な粒子や有害物質の検知、ロボットによる熱源や物質の硬さの把握などにも可能性が広がります。
「従来は、モノをつくった後に結果を確認することはできても、実際に反応が起こっている最中の状態を直接見ることは難しい場合がありました。ハイパーセンシングによって、そうした変化をリアルタイムで捉えられるようになれば、モノづくりの安定性や効率化につながります。勘や経験に支えられてきた熟練の技の継承にも、大いに役立つでしょう」

さらに、ハイパーセンシングは、人間の五感では捉えられない情報をロボットやAIが取得するための技術としても期待されています。例えば、赤外線による熱源の把握や、超音波による物の硬さの判断などを通じて、ロボットが人間には得られない情報を取得できるようになるはず。半導体製造装置への応用なども視野に入れながら、片山教授は人間の五感を超えたセンシングの可能性を探っています。
「ハイパーセンシングを活用することで、ロボットがこれまで以上に、人間には難しい作業にも対応できるようになるでしょう。特に、非常に高温の場所や放射線環境下など、人が入り込むことが難しい場所での活用が期待されます。人間には見えない光や聞こえない音まで検知できれば、これまで人の手に頼らざるを得なかった仕事も、ロボットが担えるようになるはずです」

見えない光や音を捉え、
未知の現象を明らかにする

片山教授がハイパーセンシングの可能性を実感してきた背景には、大手電機メーカーでの研究開発経験があります。会社員時代には電気・電子工学を専門に、高出力レーザー光源などの開発に携わってきました。そのなかでも印象に残っているのが、赤外線レーザーでは加工が難しかった銅を、紫外線レーザーで加工した経験です。
「銅は熱伝導率が高いため、赤外線レーザーを照射しても熱がすぐに拡散してしまいます。ところが、紫外線レーザーを使うと、光の吸収特性の違いによってレーザーエネルギーを効率よく利用でき、これまで難しかった加工が可能になるのです」

ハイパーセンシングの技術を追究するなかで、片山教授は「見えないものを捉える」ことのおもしろさを実感してきました。2026年4月に大和大学へ着任した現在は、今後の研究に向けた環境づくりを進めています。特に力を入れるのが超音波の研究で、高出力・周波数可変の装置や、音の方向や波面を可視化するための測定環境の整備を進めています。
「超音波は目に見えませんから、実際にどういう方向に音が出ているのか、どういう波面になっているのかを測ることも大切です。そうしたものをきちんと見えるようにして、今までわからなかったことを明らかにしていきたいと思っています」

企業での研究開発では、社会や産業が抱える具体的な課題に向き合いながら、最先端の技術を追究してきた片山教授。大学ではその経験を活かし、まだ答えのない問いに学生とともに挑みます。目指しているのは、これまで知られていなかった現象や性質を明らかにし、そこで得た知見を社会につながる研究へと発展させることです。
「まだわかっていないことを、研究を通して一つでも二つでも明らかにしたいと思っています。それが社会的な意味や価値のあるものにつながればうれしいですね。将来的には、ハイパーセンシングだけでなく、AIや自律制御、浄化、加工などとも組み合わせ、新たな技術領域を切り拓いていきたいと考えています」


学生の「やってみたい」を起点に、
新しい研究テーマを生み出す

2026年4月に始動したばかりの片山研究室では、これから学生とともに研究テーマを決めていきます。新しい研究室だからこそ、学生自身の興味や疑問を出発点に、研究へと発展させていけるのが特徴。片山教授も、学生の自由な発想を取り入れながら、研究室を運営していきたいと考えています。
「まだ研究室としては始まったばかりなので、何ができるのかを学生と一緒に考えていきたいです。学生が持っている興味やアイデアを大切にしながら、一人ひとりの『こういうことをやってみたい』という想いを研究につなげていければと思っています」

学生から寄せられる発想には、自身の専門領域だけでは思いつかないものもあるという片山教授。教員だけでは生まれなかった着想を取り入れることで、新たな研究の可能性が生まれるといいます。
「学生が持ってくるアイデアには、自分の専門領域とは異なる視点が含まれていることもあり、そこにおもしろさを感じます。自分一人では考えつかなかったことにも、学生と一緒に挑戦してみたいです」

片山教授が大切にしているのは、研究成果を生み出すことだけではありません。物理や化学など、高校で学んできた知識が実際の技術につながることで、学ぶことのおもしろさを実感してほしいと考えています。まだ将来の目標が決まっていない学生にも、研究を通して興味のある分野や自分の可能性を見つけてもらいたいのだとか。そのための環境をつくることも、研究室の役割の一つだといいます。
「1年生の段階では、将来何になりたいのか、まだわからない学生も多いと思います。だからこそ、大学でいろいろなことを学び、実際に手を動かして興味のあるものを見つけてほしいです。研究を通して、自分は何をやりたいのか、その答えを見つけてもらえたらうれしいですね」


プロフィール

片山 琢磨教授

理工学部 電気電子情報工学専攻

大学では工学部で電気・電子工学を学び、大学院では博士課程を修了。その後は大手電機メーカーに就職し、半導体レーザーの開発をはじめ、NEDOの次世代レーザー技術開発など、数々の最先端プロジェクトに携わる。大手電機メーカーを定年退職し、2026年4月に大和大学へ。

HOME > 研究・教育 > 研究探求 @ 大和大学 > 人間の五感を超える「ハイパーセンシング」で、社会の可能性を切り拓く 〜 片山 琢磨 教授