理工学部建築学専攻3回生の刀祢颯仁さんが、建築を学ぶ学生たちの設計作品が集まる「建築新人戦」に挑戦しました。
今回出展したのは、授業課題として取り組んだ小学校の設計案です。少子高齢化や学校の統廃合といった社会課題を背景に、子どもたちの学びの場であると同時に、地域住民が集い、交流できるコミュニティの拠点となる小学校を構想しました。
地域の未来を見据えた小学校の設計
建築新人戦への出場は、教員からの勧めがきっかけでした。授業で取り組んだ小学校の設計課題が評価され、コンペへの出展を決意しました。作品のテーマに据えたのは「地域コミュニティ」でした。
少子高齢化が進むなか、学校の統廃合や廃校は地域にとって大きな課題となっています。そこで刀祢さんは、小学校を子どもたちの学びや遊びの場としてだけでなく、地域の祭りや行事などにも活用できる施設として計画しました。
さらに、将来、小学校としての役割を終えた後も、別の用途へ転用できるように設計しました。学校単体ではなく、町全体の将来を見据えた、長く地域に必要とされる建築を目指しました。


模型制作の工夫で、作品の魅力を最大限に伝える
制作で大きな課題となったのは、模型の縮尺でした。規定の寸法内で小学校全体を表現しようとすると、模型が小さくなり、建築の魅力や迫力が伝わりにくくなってしまうという問題がありました。
そこで刀祢さんは、建物全体を再現するのではなく、最も見せたい部分を切り取った「部分模型」を制作する方針を選びました。作品の見せ場を明確にし、細部まで作り込むことで、設計の魅力をより効果的に伝える工夫をしました。
また、制作を進めるなかでは、教員や友人に相談しながら試行錯誤を重ねました。柱の太さや間隔といった細かな寸法にも気を配り、家具や内観など、これまでの授業課題では十分に表現できなかった部分にもこだわりました。
刀祢さんは、さまざまな意見を交わしながら試行錯誤し、設計の方針が定まる瞬間に、建築制作の面白さを感じたといいます。


「かっこいい建築」から「使われ続ける建築」へ
今回の挑戦を通じて、刀祢さんの設計に対する考え方にも変化が生まれました。
これまでは、自分がかっこいいと感じる外観やデザインを中心に考えていました。しかし、今回の作品では、実際に利用する子どもたちや地域住民の視点に立ち、建築が地域にどのような役割を果たすのか、将来どのように使われていくのかまで考えるようになりました。
見た目の美しさだけでなく、利用者や地域への効果、建物の構造、将来的な用途の変化まで考慮すること。実際に建てられた後も価値を持ち、使われ続ける建築を目指す視点は、今回の制作で得た大きな学びの一つとなりました。
さらなる挑戦へ。国公立大学院進学を見据えて
刀祢さんは、国公立大学院への進学を志望していました。将来の具体的な進路についてはまだ模索中でしたが、今後もさまざまなコンペに挑戦し、先輩たちに負けない成果を残したいと語りました。
そして、自分の作品が後輩たちにも受け継がれていくような、価値ある建築をつくることも目標の一つとして挙げました。
建築新人戦への挑戦を通じて、設計の技術や表現力、そして建築を利用する人や地域の未来を考える視点を学んだ刀祢さん。今回の経験は、建築の可能性を探り続けるうえで、貴重な学びの機会となりました。

