大和大学 大志を、まとえ。

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自分の数学的感性を大切にしながら、
代数的位相幾何学の本質を究める

南 範彦教授


理工学部 数理科学専攻
研究テーマ

代数幾何・代数的位相幾何学
・微分位相幾何学・位相データ解析

世界最高峰の理系大学・マサチューセッツ工科大学で教鞭をとった経験もある南教授は、長年にわたって代数的位相幾何学を中心に純粋数学の研究を手がけています。“目先の利益にとらわれず、おのれの感性を信じる”という信条を大切にしながら、難解なテーマに挑む日々。大和大学に着任してからは、自身の研究よりも授業や学生指導に注力し、ユニークな指導スタイルで学生たちのポテンシャルを最大限に引き出しています。

歴史的にも多くの数学者が
取り組んできた代数的位相幾何学

代数幾何・代数的位相幾何学・微分位相幾何学・位相データ解析をテーマに、極めて抽象的な純粋数学の研究に携わっている南教授。なかでも、代数的位相幾何学という数学の一分野の本質を究めるために、日々研究にあたっています。
代数的位相幾何学とは、図形や空間の性質を代数的な方法を使って研究する学問のこと。具体的には、図形をゴムのように少しずつ変形させても、連続的に変形できるものは同じとして考え、その形に関する重要な特徴がどう変わらないかを探っていきます」

かみ砕いて説明すると、代数的位相幾何学は図形や空間の形を数式で理解するためのツールであり、図形や空間の変わらない部分を見つける数学だと言えるかもしれません。何の役に立つのかわからないと思う人もいるかと思うのですが、実は物理学やデータ解析など、さまざまな分野で応用されています。
「身近なところでは、3次元と2次元との違いを説明する際にも、代数的位相幾何学が使えます。数学でいう“集合”で見たとき、3次元と2次元は同じで区別がつきません。そのせいかどうかはわかりませんが、『3次元より、2次元の女性がいい』という男性もいますよね。ところが、詳細は省きますが、代数的位相幾何学の位相空間という概念を用いれば、3次元と2次元の違いを明確に説明できるのです」

代数的位相幾何学は、歴史的にも多くの数学者が取り組んできた研究。図形や空間に関する普遍的な問題を扱うため、数学の奥深い世界を理解することにつながります。
代数的位相幾何学という狭い領域を極めていく過程で、周辺の代数幾何や整数論といった分野にも精通する必要が出てきました。その結果、他分野のまったく手の届かなかった高嶺の花の美しさを、ある程度近くで鑑賞できるようになった感覚。そのような境地に到達できたことが、代数的位相幾何学に向き合い続けてよかったことです」

自分の数学的感性に従って、
これまで突っ走ってきた

代数的位相幾何学の研究をするにあたって、「世の中の役に立ちたい」「世界に影響を与えたい」などと思ったことは一度もないという南教授。それよりも、自分の数学的感性に従い、これまで突っ走ってきただけだといいます。
「私自身の数学的感性が、『これはおもしろそうだ』『これは重要であるに違いない』と訴えれば、それに従ってとことん追究してきました。“目先の利益にとらわれず、おのれの感性を信じる”。これこそが、私の研究信条だと言えるでしょう」

自身の数学的感性を大切にしてきた南教授にとって、代数的位相幾何学の研究のゴールはどこにあるのでしょう。
「正直に話してしまったら、“ほら吹き爺さん”と後ろ指を指されそうなので言いません。ただ、ほら吹きと思われるような壮大なゴールを目指して全力で頑張っている、ということだけは断言できます」

そんな南教授ですが、大和大学に着任してからは、自身の研究よりも授業や学生指導に力を入れています。
学生たちに教える際には、私の長年の研究の経験を最大限に反映させながら、よりわかりやすく、より深く、より進んだ内容を教えようと最大限の力を注いでいます。そんななか、学生たちに指導するなかで、私自身の研究に役立つアイデアをもらえることも少なくありません。教えるという行為を通して、逆に私も教えられることがたくさんあると感じています」

数学を武器に、学生が理想のキャリアを
築くためのサポートをすることが使命

世界最高峰の理系大学と言われるマサチューセッツ工科大学で、教鞭をとっていた経験もある南教授。その指導スタイルは、独特でユニークです。
「授業では、なるべくレベルが高いものをわかりやすく説明することを心がけています。ただ、学生たちに私の研究のすべてを理解してもらおうとは思っていません。正直なところ、『わかってたまるか』というプライドもあります。しかしながら、私の研究に向き合う姿勢が日々の授業や指導に強く反映され、それが学生たちの糧になることだけは確かだと言えるでしょう。

近年、授業で教えているパーシステントホモロジー論を駆使した、トポロジカル(位相)データ解析という新しい分野が急激な進化を遂げているところ。すでに、材料科学や医療画像解析といった分野への応用が進んでいます。南教授は、そういったトレンドを意識しながら学生たちに指導を行っているそうです。
「また、より高いレベルでの就職を目指す学生のために、統計検定2級・準1級・1級の取得を全力でバックアップしています。大学院への進学を考えている学生には、入試の過去問を一緒に解くほか、入試提出レポートや口頭試問にスムーズに対応できるよう、理論・定理を完璧に理解できるまでサポート。より高度の数理科学を学ぶために大学院への進学を考えている学生にとって、大和大学ほど理想的な環境はないと感じています

南教授は、学生たちが数学を武器に、卒業後に最高のキャリアを歩める支援をすることが、自身のミッションだと考えています。
「大和大学では『大志を、まとえ。』というスローガンを掲げていますが、数学の領域で大きな夢や目標を実現するためには、『限界まで頑張らねば』というプレッシャーがともないます。プレッシャーに対してネガティブなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実は悪いことばかりではありません。ずば抜けた運動能力を有している宇宙飛行士ですら、肉体的なプレッシャーがまったくない宇宙の無重力状態で数ヵ月過ごして地球に帰還すると、車イスなしでは歩けないほどに体力が衰えてしまうもの。プレッシャーを成長への糧にしながら、ぜひ数学の奥深さに触れてもらいたいです」

プロフィール

南 範彦 教授

理工学部 数理科学専攻

大学卒業後、広島大学の助手などを経てアメリカへ。世界最高峰の理系大学・マサチューセッツ工科大学で教えた実績もある。帰国後、名古屋工業大学工学部共通講座教室の助教授となり、その後は工学部や工学研究科の教授などを経て、2024年に大和大学の教授に就任する。

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