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経済学とデータサイエンスを融合させ、
金融版ハザードマップの構築を目指す

羽森茂之 教授


政治経済学部 グローバルビジネス学科
研究テーマ

金融危機のリスク回避に役立つ、
金融版ハザードマップの構築

経済学とデータサイエンスを融合させ、羽森教授は金融危機のメカニズムの解明や早期警戒システムの構築、金融危機の実体経済への波及経路の分析、ESG投資やグリーンファイナンスの特徴の解明に携わっています。直近の大きな目標は、金融版ハザードマップの構築。世界的な金融危機のリスクに備え、いち早く対策を取れる環境づくりを目指し、スケールの大きなプロジェクトに挑んでいます。

金融版ハザードマップがあれば、
リスクの芽を摘み取ることができる

データ分析に対して、理系のイメージを抱いている人もいるかもしれません。けれども実際は、ジャンルを問わず、幅広い分野で活用されています。経済学の研究の最前線でも、AIを用いたビッグデータの分析が急速に拡大中。そんななか、羽森教授はいち早く、経済学とデータサイエンスを融合させた研究に取り組んできました。
「アメリカのデューク大学で学んでいた頃に、教授から『今後は金融時系列データの分析が重要になる』という話を聞きました。金融時系列データというのは、時間の経過にともなって変化する金融市場のデータのこと。例えば、株価や為替レートに関する過去のデータを分析することで、未来の予測やリスク評価に活かすことができます」

現在、羽森教授は世界の金融システムの膨大なデータを、機械学習を用いて分析しているところ。それをもとに、金融危機のメカニズムを解明し、その影響を未然に防ぐ警戒システムの構築に取り組んでいます。
「目指しているのは、金融版ハザードマップをつくりあげることです。ハザードマップというのは、災害が発生したときの危険箇所や災害時の避難場所などを地図にまとめたもの。データ分析を通して金融危機のリスクを評価し、その経済版を手がけるというチャレンジに挑んでいます。今は、世界中の金融機関がネットワークでつながっている時代。リーマン・ショックやギリシャ危機からもわかるように、どこかの国で起こった出来事が世界経済を混乱に陥れるリスクをはらんでいます。そのようななか、金融版ハザードマップがあれば、リスクの芽を摘み取ることができるでしょう」

金融版ハザードマップの構築を目指すと同時に、羽森教授は金融危機の実体経済への波及経路の分析も行っています。
「外国で起こった金融危機が日本経済へどのように波及するのかがわかれば、事前にリスク回避に向けて手を打つことができます。天気予報による台風の進路予測を受けて、さまざまな対策を取りますよね。それと同じで、波及経路の分析を通して、金融危機の影響を最小限にとどめる提言へとつなげていきたいと考えています」

持続可能な世界経済の実現に、
大きく貢献できる研究

金融システムというのは、経済の根幹を担う重要なもの。人のカラダに例えると心臓や血管のような存在で、万が一損ねてしまったら世界経済に大打撃を与えてしまいます。羽森教授の研究成果を活用すれば、金融危機という病から国や人々を守る有効な処方箋をつくることができるのです。
「私の研究は、金融システムの安定性と経済社会の持続可能性の観点から、金融リスク管理のあり方を考える一助となるはず。世界経済の持続的な発展に、大きく貢献できるでしょう」

また、近年はESGに配慮した経営を行う企業に投資を行う“ESG投資”や、企業が環境問題への取り組みをする際の資金調達手段となる“グリーンファイナンス”への社会的関心が高まっています。羽森教授は、それらにもいち早く注目。データ分析を用いて、“ESG投資”や“グリーンファイナンス”の特徴の解明に力を注いでいます。
「この研究は、金融版ハザードマップの構築や金融危機の実体経済への波及経路の分析と関係ないように見えるかもしれません。けれども、“経済社会の持続可能性”という点で、しっかりリンクしているのです」

「経済学×データサイエンス」によって、世界の金融システムを支える研究に挑んでいる羽森教授。ただ、データ活用のメリットは、それだけではないと言います。
データ分析という科学的根拠に基づいた研究を行うことで、研究者の価値観や先入観に左右されることなく、健全な議論につなげることができます

勉強は自由を手に入れる手段!
データ分析のスキルで自己価値を高める

羽森教授は初めての授業で、学生たちに「何のために勉強をしているのですか」と問いかけるそうです。すると、「親や先生に言われたから」「そんなことを考えたことがなかった」という声が多く、まともに答えられる学生はほとんどいないのだとか。
「私は、勉強は自由を手に入れるための手段だと思っています。勉強に打ち込んで確かな知識やスキルを身につければ、就職先を選ぶ際の選択肢が広がり、自由にやりたいことを選べる可能性が高まるでしょう」

他の人と差別化できる専門性があれば、働く場所、時間、仕事で付き合う相手も、自由に選べる可能性が高くなります。例えば、フリーランスで活躍している方々が、そうかもしれません。
「つまり、勉強して専門性を磨き、市場価値の高い人材になれば、選ばれるのではなく選ぶ側に立てるようになるということ。こうした自由度の高さは、心の豊かさにつながると考えています」

専門性を磨くうえで、羽森教授のもとで学べるのは大きな魅力。学生たちは、経済や金融の知識だけでなく、データ分析のノウハウも身につけることができます。これからの時代、データサイエンスに関するスキルは、あらゆるビジネスを展開するうえで大きな強みになるでしょう。
「プログラミングのスキルでも語学力でも何でもいいので、ぜひ専門性を磨いて自由を手に入れられる人材を目指してください。なかでもお勧めなのが、データサイエンスの分野。業界を問わず、データ活用の重要性が高まっているので、将来性は抜群です。就職活動時にも大きな武器になりますし、社会に出たときに市場価値の高い人材だからこその自由が享受でき、心豊かな人生を過ごすことができると思います」

プロフィール

羽森茂之 教授

政治経済学部 グローバルビジネス学科

神戸大学大学院経済学研究科、デューク大学大学院経済学研究科を経て、1986年に関西学院大学商学部専任講師へ。1990年に助教授となる。その後、神戸大学大学院経済学研究科の助教授、教授、名誉教授に。2024年4月、政治経済学部政治経済学部の誕生と同時に大和大学へ。

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