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難易度が高い非線形微分方程式の
“解の定性的性質”を研究

宮下鋭也 准教授


理工学部 数理科学専攻
研究テーマ

非線形微分方程式論について

難易度が高いとされる、非線形微分方程式の研究に長年取り組んでいる宮下准教授。なかでも、特異非線形項を持つMEMS方程式の“解”の定性的性質について研究を行っています。非線形現象は複雑なことが多く、現象が多岐にわたるのが特徴。研究にゴールや目標を特に設定しておらず、“解”の定性的理論を研究し、“解”をなるべく理解しようと努めることに力を注いでいます。

非線形微分方程式を使えば、
物理現象をより正確に捉えられる

リンゴが落ちるのを見て「万有引力の法則」を発見したニュートンは、運動方程式を解くために“微分・積分”を確立し、物理上の運動法則を解き明かしました。
「私が好きなバスケットボールを例にあげると、方程式を解くことでフリースローでボールをリリースするときの情報から、ボールの軌道を導き出すことが可能です」

その後も、多くの科学者がさまざまな原理や原則を発見。それによって、世の中の物理現象を理論や数式で表すことができるようになり、科学や産業は発展を遂げました。物理現象を方程式で解き明かす際に、主に用いられてきたのが線形微分方程式。文字通り“まっすぐ”なもので、「原因を2倍すれば、結果も2倍になる」といった正比例的な性質で表すことができます。ただ、宮下准教授によると、物理現象をより正確に捉えようとすれば、線形微分方程式では不十分なのだそうです。
「その理由は、世の中の物理現象は、二次関数や三次関数などに代表される“非線形”だからです。つまり、線形微分方程式のように一次式で表すことができません。ただ、非線形微分方程式は“解”を求めたり、“解”の性質を調べたりするのが非常に難しいのが特徴。そこで、線形微分方程式を用いて計算を行い、おおよその“解”を見つけているというわけなのです」

宮下准教授が長年取り組んでいるのは、難易度が高いとされる非線形微分方程式の研究。なかでも、特異非線形項を持つMEMS方程式の“解”の定性的性質について調べています。
「何のことかわからないと思いますが、MEMS方程式は実は生活の身近なところに応用されています。例えば、自動車のエアバッグがそのひとつ。エアバッグはある一定の衝撃を感知すると膨らむ仕組みですが、センサの感度が高すぎても低すぎてもいけません。エアバッグを作動させるベストな値を導くために、実はMEMS方程式が活用されているのです」

ハードルが高ければ高いほど、
挑戦意欲を強く刺激される

MEMS方程式に関する研究は、センサを用いた自動制御など、世の中の技術革新に大きくつながる可能性を秘めています。ところが宮下准教授は、そういったことにはいっさい関心がないのだとか。
「エアバッグが作動するのにふさわしい値を導き出すなど、方程式の研究をモノづくりに活かすのは、物理学者や工学者の役目。解を具体的に表現できる見込みが薄いので、“解”の定性的性質の追究を目的としています

数値計算上では、こうなるだろうという予想はある程度立てることができると、宮下准教授。それを数学的に証明させていきたいといいます。
「私がやっているのは、“解”の定性的理論を研究し、“解”をなるべく理解しようと努めること。正直、自分の研究が何か世の中の役に立つかというと、そうではないかもしれませんね」

また、「研究にゴールや目標を特に設定していない」とのこと。MEMS方程式の“解”の定性的性質に関する研究は、そう簡単に成果が出るものではありません。目の前のできそうなことに取り組むことで、精一杯だそうです。
「この研究は、上手くいかないからこそおもしろい。ハードルが高ければ高いほど、数学者として挑戦意欲を強く刺激されます。また、非線形現象は複雑なことが多く、現象が多岐にわたるのが特徴。研究を進めるなかで、想定外の事象に出会えることも、この研究のおもしろさだと言えるでしょう。実験系の研究と異なり自分の頭のなかでの作業なので、紙とペンさえあればどこででもできるのも、この研究の魅力です」

大学の数学は、
答えを出して終わりではない

宮下准教授いわく、「大学の数学は、計算をしたり、問題を解いたりすることが目的ではない」のだとか。単に答えを出して終わりではなく、計算や解の意味について深掘りするスキルが求められるそうです。
「例えば、二つの三角形の対応する三辺が等しければ合同などといった三角形の合同の条件でも、『三辺が等しければいいのか』『本当にその角は等しいのか』といったことまで考えてみることが大事。そういった思考を身につけていないと、数学の理論を理解するのは難しいでしょう」

だからこそ、大学入学前に数学の基礎をしっかり身につけておくことが大切なのです。特に、難しい研究に挑むのであれば、基礎力がなければ絶対に太刀打ちできません。
「この研究に向いているのは、じっくり時間をかけて物事を考えるのが好きな方。すぐに答えが出るものではないので、継続して粘り強く努力する力も求められます」

長年、数学の難題に挑み続ける宮下准教授は、科目を問わず、高校で習う知識はしっかり身につけておくことが大事だといいます。
「高校時代はさまざまなことに興味を持ち、幅広く学ぶことが大切です。そのなかで、おもしろいと感じた分野について追究できる学部や専攻を見つけてください。そして、大学入学後も好奇心を失わないで、勉強し続けてもらいたいです」

プロフィール

宮下 鋭也 准教授

理工学部 数理科学専攻

2006年、大阪大学基礎工学研究科システム創成専攻修了。京都工芸繊維大学などで教鞭を執った後に大和大学理工学部の准教授に就任。バスケットボールが趣味で、大学HPの教員紹介ページでは、バスケットボールを使った講義の一部が動画で公開されている。

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