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世界のモノづくりのクオリティを高める、
「CNC工作機械」の加工精度を向上させる

杉村 延広教授


理工学部 機械工学専攻
研究テーマ

「CNC工作機械」の加工誤差の
理論的および実験的解析

さまざまな分野の製造現場で活躍し、世界のモノづくりを支えている「CNC工作機械(コンピュータで制御されている工作機械)」。最新鋭の「コンピュータ制御知能化工作機械(インテリジェント加工ロボット)」を使い、加工誤差の理論的および実験的解析を行っているのが杉村先生と福井先生です。AI技術やデータサイエンス技術なども駆使しながら、髪の毛よりも細い5/100mm以下という加工誤差を小さくするす挑戦を続けています。

世界のモノづくりを支える、
最新鋭の「CNC工作機械」を操る

あらゆる産業界の最前線で活躍する「CNC工作機械」。コンピュータ制御による精密加工を得意としており、自動車のエンジンやジェットエンジンの精密部品の製造現場で採用されています。そのほか、自動車のボディやスマートフォンをはじめ、さまざまなモノづくりに欠かせない、精密金型の製造の舞台裏でも活躍。「CNC工作機械」は、まさに現代の産業界を支える、なくてはならないマシンと言っても過言ではないでしょう。
「『CNC工作機械』の大きな特長は、製造できる部品や金型の精度が非常に高いことです。例えば、自動車のエンジン部品を10万個製造した場合、その寸法や形状の誤差を5/100mm以下に抑えることが可能。誤差は髪の毛の細さの半分以下と言えば、そのすごさを理解できると思います」。

杉村先生によると、日本製の「CNC工作機械」の実力は世界トップクラスだそう。こうした加工誤差の小ささは、精密部品や精密金型の品質の高さに直結。そのため、日本製の「CNC工作機械」は、世界の自動車メーカーやジェットエンジンメーカーからも重宝されています。
「あるF1チームのレーシングカーのエンジンの製造現場でも、実は日本製の『CNC工作機械』が活躍しています」。

世界のモノづくりを支える最新鋭の「CNC工作機械」に触れられるのが、杉村先生と福井先生の研究室です。大学の実習工作室には、世界で活躍する日本メーカーの「コンピュータ制御知能化工作機械(インテリジェント加工ロボット)」が3台もスタンバイ。ちなみにこれらは、1台約2000万円という非常に高価な装置だそうです。
ここまで設備が整っている大学は、おそらくほかにはありません。機械工学を学ぶうえで、大和大学には最高の環境が整っていると自負しています」。

「最新鋭×最先端」で、モノづくりの常識を覆していく

杉村先生と福井先生の研究室では、最新鋭の「CNC工作機械」やロボットを用いて、加工誤差の理論的および実験的解析を行っています。
「理論的には実現可能なはずなのに、実験を行ってみると想定外の誤差が発生してしまいます。その原因を追求し、トライ&エラーを繰り返しながら、理論の証明するための実験を繰り返している段階です」。

「CNC工作機械」はコンピュータで制御されているので、AI技術やデータサイエンス技術を活用して、より高精度かつ高速度で部品を製造することが可能。しかも、「CNC工作機械」を扱うオペレーターのスキルによって、精度にバラつきが出ることもありません。
「また、近年は複雑な部品の製造に3次元プリンターが利用されていますが、まだまだ精度が低いのが現状です。けれども、3次元プリンターと『CNC工作機械』を融合させることで、複雑な部品を高精度で製造することができるようになってきています」。

杉村先生が挑んでいるのは、最新鋭の「CNC工作機械」と最先端技術を組み合わせ、モノづくりの常識を覆していく研究。ところが、「最新鋭×最先端」でより精度を高めていけばよい、というものではないそうです。
「AI技術のおかげで想定以上にいい実験結果が出たとしても、理論と一致していなければ意味がありません。なぜなら、理論に基づいて再現できなければ、実用化することは難しいからです」。

人々の暮らしに身近な製品の、
品質と性能を高めるカギに

世界の自動車メーカーやジェットエンジンメーカーからも選ばれる「CNC工作機械」を使った研究を通して、得られるものや学べることはたくさんあります。
「まず、自動車のエンジンやジェットエンジンなどの精密部品の加工技術を学ぶことができます。また、最新鋭の設備を用いることで、『CNC工作機械』の技術の現状と将来動向を知ることができるでしょう。さらに、最先端の情報科学と機械工学を融合した研究を通して、AIやデータサイエンスといった最先端技術に触れられるのも大きな魅力です」。

「CNC工作機械」は、自動車や家電製品、コンピュータの周辺機器(ハードディスク・プリンターなど)をはじめ、人々の暮らしに身近な製品の製造に欠かせない存在です。
「『CNC工作機械』の精度をさらに高めることが、これら必需品の高品質化や高性能化、省エネルギー化の大きなカギとなると言えるでしょう」。

杉村先生が目指しているのは、「CNC工作機械」の加工精度の計測値と、理論上の予測値との比較検討を繰り返し、加工誤差の理論(工作機械の形状創成理論)を確立すること。また、AI技術やデータサイエンス技術を活用し、理論予測値に基づいて「CNC工作機械」の運動制御を補正することで、加工精度を向上させるシステムを開発することも目標の一つです。
「研究を通して、5/100mmという『CNC工作機械』の加工製品の誤差を超えていきたいと考えています。低コストで誤差を1/100mmに縮めることができれば、全世界の産業界に大きなインパクトを与えることができるでしょう。同時に、日本が世界に誇るモノづくり技術を、さらに高めることができるはずです」。

プロフィール

杉村 延広 教授

理工学部 機械工学専攻

神戸大学工学研究科で生産機械工学を学ぶ。卒業後、神戸大学の助教授、大阪府立大学や神戸大学の教授などを経て、2021年に大和大学理工学部の教授に就任する。これまでに、「工作機械技術振興賞(論文賞)」「日本機械学会奨励賞」「平成18年度工業標準化事業経済産業大臣表彰」などを受賞。

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