
大阪大学での研究は「ものづくり工房」で培った
知識やスキルが役立っている

工学研究科 ビジネスエンジニアリング専攻 産学官共創コース
アルバック未来技術協働研究所 河原林 雄大さん

大学時代に学んでいたことは?
電磁気学や電気・電子回路、半導体工学などを学んでいました。私は理工学部の1期生だったので、定期考査や日々の課題でどのような問題が出されるのかがわからず、参考書を買って専門分野の勉強に励んでいたのが懐かしいですね。一番印象に残っているのは、入学当初から参加していた「ものづくり工房(チャレンジプロジェクト)」での活動です。最先端の機器を駆使して、さまざまなものづくりにチャレンジ。3Dプリンタの活用やETロボコンへの参加、Arduino(アルディーノ)を用いた電子工作など、幅広いプロジェクトに取り組みました。
今の大学院に進学を決めた理由は?
企業との共同研究を通して、学術的視点を養いながら企業の考え方も学ぶことができると考えたからです。「学術×ビジネス」で、工学的な知識と社会的ニーズに応えるための知識を同時に習得できる点に、大きな魅力を感じました。
現在の研究内容を教えてください。
一言で言うと、新しい半導体素子の開発です。これまでの半導体素子は、より小さくすることによって性能を上げてきましたが、それも限界を迎えています。とはいえ、今後もさらなる性能アップのニーズがなくなることはないでしょう。そんななか、現在の「Si(シリコン)」ではなく、「Ge(ゲルマニウム)」という材料を用いることで、より高性能の半導体素子の開発を目指しています。

今の研究のやりがいや魅力は?
うれしい瞬間は、研究が成果につながったときです。特に、論文や先行研究をもとに研究計画を立て、実験を行い、その結果をもとに考察をし、研究計画をブラッシュアップ、というサイクルを通して試行錯誤を重ね、いい結果が出たときに達成感を味わえます。また、企業との共同研究の魅力は、さまざまな立場の方と接することができること。今は、企業の社員さん、大学院生、学部生を含め、総勢20名ほどで研究を進めています。最新の装置を扱えるのも、大きな魅力。そのほか、本社の企業研究所との交流があり、多くの社会人と接することで視野を広げていけるのもメリットです。
これまでの研究で一番印象に残るエピソードは?
学部生だった4年生の1月から同じ企業との共同研究を開始し、9月の学会で研究の成果を発表できたことです。まさか、こんなに短期間で実現できるとは思っていなかったので、とても印象に残っています。早くに成果を上げられたのは、企業だからこそのスピード感と指導研究員の方のサポートのおかげだと言えるでしょう。
大和大学での学びや経験が活かせている点は?
大和大学で基礎からしっかり学んだ知識をベースに、実際の研究活動に取り組めています。大学で得た理論や技術の知識を活かしながら、研究内容をしっかりと考察できるようになり、少しずつ自信がついてきました。また、講義や「ものづくり工房」の活動を通して培ったコミュニケーションスキルや協調性も、他者と協力しながら研究を進めていくうえで役立っています。

振り返ってみて気づいた大和大学の魅力を教えてください。
教授との距離が近いのが、一番の魅力ではないでしょうか。教授と気軽に話せる雰囲気なので、講義についての質問や進路相談がしやすく、有意義な大学生生活を送ることができました。
大和大学にいた頃にやっておけばよかったことは?
海外旅行です。時間がある学部生のうちに、行っておくべきでした。海外で生活をし、その国のカルチャーに触れることで、新たな考え方や価値観を吸収できたんじゃないかと思います。
今後の目標を教えてください。
直近の目標は、基礎的な知識や技術をさらに深め、研究計画の立案から実験、データ分析、考察までの一連のプロセスをしっかりと身につけることです。また、他の研究者との意見交換などを通じて、新しいアイデアやアプローチを取り入れることも目標のひとつ。最終的な目標は、より高性能の半導体素子を開発し、それを世の中に広めることです。
在学生や進路に迷う高校生へメッセージをお願いします。
後悔することがないよう、気になることや興味があることには、ぜひ積極的に挑戦してください。私が今の環境で研究に打ち込めているのも、大学に入学してから、主体的に専門分野の勉強をしたり、「ものづくり工房(チャレンジプロジェクト)」に参加したりしたからだと思っています。さまざまな挑戦を通して得られた経験は、将来の進路を決めるうえでの大切な軸になるでしょう。