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人間との共生をテーマにした
ロボットの実用化にチャレンジ

前田 陽一郎教授


情報学部 情報学科
研究テーマ

人間にとって親しみやすいロボットなど、
人間共生システムの研究開発

前田教授の研究室では、人間と共生・共存できるシステムやロボットの研究開発を行っています。40年以上にわたって培ってきたロボット開発の知見とノウハウを活かし、目指しているのは人工知能(AI)と人間知能(HI)の融合。 コンピュータと人間が同じ社会で共存する今の時代において、非常に注目度の高い研究テーマだと言えるでしょう。

人との“親和性”が高い
システムやロボットが必要とされる時代

スマホやお掃除ロボットの普及からもわかるように、今はコンピュータと人間が同じ社会で共存する時代になりました。かつてロボットは、工場などで人間の代わりに黙々と作業を行っていればよかったのですが、人間と共に暮らす時代になったことで、人との“親和性”が求められています。そのような時代に先駆けて、早くから人間とコンピュータが良好な関係を築くための研究を行ってきたのが前田教授です。
「これからの時代のロボットには、見た目の柔らかさや豊かな感情、人間とのスムーズな対話など、より高度な“対人親和性”が求められるでしょう。私の研究室では、人間と共生・共存できるコンピュータの実現に必要な技術の確立を中心に、人間とシステムやロボットとの双方向のコミュニケーションにおける相互作用の解析および親和性の向上を目指しています」

前田教授の研究をわかりやすく一言で説明すれば、より人に寄り添えるシステムやロボットの研究開発。そういった人間共生システムや人間共存型ロボットを開発するためには、ソフトコンピューティングや感性工学の技術が必要不可欠だといいます。
「ソフトコンピューティングは人工知能の一種で、ファジィ理論やニューラルネットワーク、機械学習、進化計算など、生物が有する機能をベースにした人間の感覚に近い柔軟な情報処理手法のことです。感性工学とは、人間の感覚や印象といった感性を科学的手法で分析し、システムなどの開発に活かす学問のこと。これらをベースに、人間が親しみを覚えるようなシステムやロボットの研究開発を進めています」

前田教授は、もともとは三菱電機の研究所エンジニア。40年ほど前から、ロボット開発に携わっていたそうです。
「当時は、原子力発電所内で点検を行うロボットなどを開発していました。ただ、こちらが設定したプログラム通りにしか動かないロボットばかりです。高額な費用をかけて高性能のロボットを開発するのなら、知能をもたせたい。そういった情熱が、退社して私を研究者の道へと導く原動力となりました」

人工知能(AI)と人間知能(HI)を融合した
ロボットの実用化を目指す

研究者の道へ進んだ前田教授がこれまでに携わった研究は、目の動きで操作できる車イスロボットや、遠隔地の状況をリアルに感じながら操作できる移動ロボットの体感型操縦支援システムなど。以前所属していた大学では、ロボットのサッカー大会にも出場し、技術力の高さを称えるテクニカルチャレンジ部門で1位に輝いたこともあるそうです。
「いろいろなことにトライしてきましたが、私たちが目指しているのはロボットの性能を高めることではありません。あくまで、目的は人間との共生・共存。今後は、人間の知能を融合したロボットの実用化研究に挑戦していきたいと考えています」

つまり、すべてを人工知能(AI)に頼るのではなく、人間知能(HI)と連携させることで、ロボットと人間が互いの長所を高め合い、短所を補い合えるような関係を目指すといいます。
「確かに、ロボットが人間の能力を超えている部分もありますが、人間の判断のほうが優れている部分も多々あります。 人間の判断が正しくない場合は人工知能が修正し、人工知能の判断が不適切な場合は人間が介入するようなシステムの構築が理想的だと言えるでしょう。そのため、双方の判断のどちらが正しいかを判定する“Hyper-AI”のような存在が、今後必要になってくるのではないでしょうか

近年は、IBMのWatsonのようなクラウドAIや、OpenAIのChatGPTのような生成型AIなど、人間の知能と区別がつかない高度なAIも出現してきています。2045年には人工知能(AI)が人間知能(HI)を追い越し、それまでとはまったく異なる世界になるとの予測がありますが、本当にそのような時代が来たら映画で描かれているような人類滅亡の危機がやってくるかもしれません。
「しかしながら、現状でAIが人間を越えている点は処理スピード(高速性)や論理的判断(自律性)であり、創作・発想(創造性)や感情・心理(共感性)では、まだ人間に遠く及びません。私が行っている研究は、人間知能(HI)と人工知能(AI)の協調と抑制ができる、共生社会を実現するためのヒントになるでしょう」

ロボット工学だけでなく、
心理学や倫理学などの知見も身につく

設計して回路を組み、プログラムをすればロボットは動くので、通常のロボット開発なら機械・電子・情報の知識があれば十分対応できました。ところが前田教授によると、人間との共生をテーマにしたロボットを開発する場合、それらの知識だけでは不十分だそうです。
心理学や倫理学、ときには医学や動物行動学の知識も必要になります。さまざまな分野の知見を吸収する必要が出てくるので、当研究室の学生は大変かもしれません。けれども、幅広い知識やワンランク上のスキルを手に入れることができるでしょう」

機械学習、特に深層学習(ディープラーニング)は、ロボットや画像処理、自動運転など、幅広い分野で有効活用されており、実用性の高さはすでに周知の事実です。しかしながら、一般にディープラーニングで獲得した知識はブラックボックスで、その中身を理解したり、解析したりすることはできません。
「そのようななか、私たちは独自のノウハウを用いて、機械学習で導き出された知識の可視化に挑戦。これによって知識自体の意味を把握することができ、人間の考え方を理解するうえでも非常に興味深いと考えています」

前田教授の研究室では、人間共生システムや人間共存型ロボットというホットな研究にあたることができ、人工知能(AI)と人間知能(HI)の両方について深く学べるのが特徴。また前田教授によると、大和大学だからこそ得られることもたくさんあるそうです。
「世の中の高度なシステムは、ほとんどすべてコンピュータをベースに動いています。情報学部は、情報に関する幅広い知識とコンピュータ技術を総合的かつ網羅的に学習できる環境。ICT・IoT・AIといったさまざまな技術を駆使した先進的な情報処理手法を学び、社会のあらゆるシーンで活躍できるエンジニアへと成長していけます。また、大和大学の情報学部は文理融合の学部。そのため、教員の方々の研究分野は多彩で、学生たちが目指す方向性もさまざまなので、複合的で多様な研究ができます。特に、人間の知能や感性についても学べる点が、大きな魅力だと言えるでしょう」

プロフィール

前田 陽一郎 教授

情報学部 情報学科

大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻機械工学分野修了。就職先の三菱電機では、産業用ロボットの研究開発に携わる。1995年に大阪電気通信大学の助教授にキャリアチェンジし、福井大学、大阪工業大学、ものつくり大学、立命館大学の教授を経て、2023年4月から現職。

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