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学年を超えたチームで挑むコンペだからこそ、多くの発見、学び、刺激が得られる!

理工学科建築学専攻の学生たちは、建築研究会サークル顧問の包慕萍先生の手厚い指導のもと、積極的に学外コンペに参加しています。そこで、学年の壁を超えたチーム編成で「第18回 長谷工住まいのデザインコンペティション」(指導教員:包慕萍・堀口譲司)に挑戦した先輩たちを直撃。「集合住宅の新しいあらわれ」というテーマのもと、発想豊かなさまざまな作品が誕生しました。また、学生たちの実力は年々高まってきており、コンペでの受賞が目立つようになってきているのも特徴。そこで、“建築学生の登竜門”として多くの学生が参加する「建築新人戦2024」で、見事入選を果たした先輩にも話を聞きました。

包先生
参加者:理工学部 理工学科 建築学専攻の2~4年生&卒業生

※学年は取材時のものです。

  • 来間 海人
    (3年)

  • 青山 倖奈
    (3年)

  • 森 恭彰
    (卒業生/東京大学修士1年生)

  • 辻 聖菜
    (2年)

  • 橋口 登偉
    (4年)

  • 澤坂 茉歩
    (3年)

  • 岩見 知弥
    (2年)

  • 佐原 涼太
    (2年)

  • 上田 高輝
    (4年)

  • 西村 菜ノ花
    (2年)

  • 岡 大悟
    (4年)

  • 横内 稀人
    (3年)

1

学年ごとに知識やスキルに差があるなかで、
1年生たちのフレッシュな発想に驚かされた!

作品名:【YouTuberの集合住宅】
コンペ:「第18回 長谷工住まいのデザインコンペティション」

来間 海人

集合住宅はさまざまな人が暮らす場所なので、誰もが快適に過ごせるよう、使いやすさとバランスの取れた設計やデザインになりがちです。けれども、今は職業やライフスタイルが多様化している時代。そこで私たちは、特定の人々に向けた個性的な集合住宅を提案することにしました。タイトルにもある通り、それがYouTuber向けの集合住宅です

青山 倖奈

料理系YouTuberが撮影しやすいようキッチンを大きくしたり、ゲーム配信系YouTuberが快適にプレイできるゲーム部屋を設けたりといった具合です。また、同じ集合住宅で暮らすYouTuberたちがコラボレーションしやすい空間づくりも目指しました。

来間 海人

私たちのチームは5人で、自分たち3年生のほかは、2年生と1年生です。苦労したのは、学年ごとに知識やスキルに差があるなかでの役割分担でした。

青山 倖奈

最初は1年生にどんな役割をお願いすればいいか悩んだのですが、最終的に住人として想定するYouTuberのピックアップを任せることにしました。

包先生

建築は日常生活と密接に関わっている分野なので、専門的な知識やスキルがなくても、アイデアを出しやすいという特徴があります。極論を言えば、誰でも自分が住みたい空間を考えることができます。自然い建築家のような視点を持つことができますよ。

青山 倖奈

コンペの準備を進めるなか、前年の「長谷工住まいのデザインコンペティション」で佳作を受賞した来間君の存在は、とても大きかったです。途中からメンバーに加わってもらったのですが、おかげでチームがひとつにまとまりました。また、後輩たちとコンペに取り組むなかで心がけていたのは、学年に関係なく意見や提案がしやすい雰囲気づくり。実際、私たちのチームは上下の壁がなく、誰もが自由に思ったことを発信していました。

来間 海人

後輩の意見を聞いて、「なるほど、そんなアイデアがあったのか!」と驚いたことは一度や二度ではありません。

包先生

来間君と青山さんのチームは、常に笑顔が絶えないチーム。1年生や2年生が楽しそうに取り組んでいる姿が、とても印象的でした。
2

卒業生と在校生が生み出す化学反応で、
チーム全体のレベルが一気に高まった!

作品名:【1/360°刻みの間柄】
コンペ:「第18回 長谷工住まいのデザインコンペティション」

辻 聖菜

私たちのチームでは、私が2年前期の設計課題で提案したアイデアをブラッシュアップ。住民の多様な関係性を「あいだがら」というキーワードを軸に、コンペのテーマである「新しい集合住宅のあらわれ」を表現しました。

包先生

辻さんたちのチームは、 集合住宅に住民の個性をみせる「花道」をつくるということを大切にしていました。窓や扉、建具を360度回転できる案。それぞれの住民たちが自由に個性を表現でき、近隣との距離を操作できるアイデアを実現。そんな個性ある風景が外からも見えるという斬新な集合住宅です。

辻 聖菜

そうすることで、近隣との「間柄」が生まれ、新しいコミュニティが育まれる集合住宅を目指しました。

森 恭彰

卒業生の私は、包先生に声をかけられて途中からチームに合流しました。
ちなみに、「長谷工住まいのデザインコンペティション」には、在学中に4回応募したことがあります。第16回では佳作を受賞しました。

包先生

森君が加わったことで、辻さんたちはアイデアを整理でき、前へ進むことができるようになったんじゃない?

辻 聖菜

そうなんです!森先輩のおかげで、建築について考えるときの順序が理解できるようになりました。私たちは最初、カタチ優先で考えてしまっていたんです。けれども、「社会的なニーズから考えないとダメだよ」とアドバイスされて、「なるほど!」と腑に落ちました。

森 恭彰

後輩たちと一緒に取り組むなかで、彼らの斬新なアイデアをどうカタチにするかを考える過程から、私自身も多くのことを学びました。

辻 聖菜

チームでコンペに挑むなかで、さまざまなアイデアに触れられたのも魅力。学内で優秀賞に選ばれて2年生が班長を務めた私にとってすごく励みになりました。この経験を通じて、これからも積極的にコンペに挑戦したいという気持ちが高まりました。

森 恭彰

私はちょうど大学院で壁にぶつかっていた時期だったため、後輩たちの新しい考え方やアイデアに触れ、いい刺激をもらえました。
3

4年生の先輩と一緒にコンペに挑むことで、
自分の将来を決めるヒントがもらえた!

作品名:【糸のユートピア】
コンペ:「第18回 長谷工住まいのデザインコンペティション」

岩見 知弥

集合住宅における閉鎖的な暮らしの課題を解決するために、私たちのチームでは糸に着目しました。

佐原 涼太

糸はその編み方や撚り方次第で、空間やモノを自由自在につくりあげる力を持っています。そこで、「糸のユートピア」として、セルフビルドが可能な集合住宅を提案しました。居住空間はもちろん、近隣住民と一緒に食事を楽しむためのテーブルやイス、さらには敷地内の道まで、糸でつくりあげるというプランです。

上田 高輝

私は途中からチームに参加したのですが、糸を使って自由に空間をつくるという発想が素晴らしいと感じました。ただ、何らかのルールを設ける必要があり、その部分をどのように考えるかが難しかったです。

西村 菜ノ花

自分たちが表現したかったことを、上田先輩がビジュアルでわかりやすく可視化してくれたおかげで、頭のなかで思い描いていたイメージが具体的なカタチになりました。

佐原 涼太

上田先輩が描くコンセプト図などは簡潔でわかりやすく、とても勉強になったと感じています。

岩見 知弥

上田先輩のアドバイスのおかげで、提出するシートの文章も読みやすさを考慮したボリュームになりました。「人に伝えるためには」という視点を学べたことも大きかったです。

上田 高輝

後輩たちが考えたアイデアをもとに、その内容をブラッシュアップしていく経験は、自分の視野を広げ、新しい発想やアプローチを学ぶ貴重な機会になりました。

包先生

上田君はこれまでに2回、同じコンペに参加しました。回を重ねるごとに着実にスキルアップし、建築学生らしさが増してきましたね。コンペの作品は、大学院を受験した際のポートフォリオとして役立ったでしょ?

上田 高輝

はい!おかげで、筑波大学の大学院に合格しました。

佐原 涼太

学年を超えたチーム編成は、自分の将来を考えるうえでもおおいに役立っています。私は就職か進学かで迷っていたのですが、上田先輩からつくば大学の大学院について話を聞き、進学を決意しました。

西村 菜ノ花

大学院に進学するためにやるべきことを教えてもらえたのも、とてもありがたかったですね。

岩見 知弥

私はまだ就職か進学かで迷っていますが、多くの先輩たちと仲良くなることで、両方の意見を聞けて参考になっています。

包先生

学年にとらわれないチーム編成は、みんなの将来の選択肢を広げ、成長を促す大きなきっかけになっていると言えるでしょう。
4

「集合住宅で馬を飼う」というアイデアからスタート!
大胆な発想で、自由に挑戦できるのがコンペの醍醐味

作品名:【ケモノ道で町を呼び継ぐ】
コンペ:「第18回 長谷工住まいのデザインコンペティション」

橋口 登偉

私たちのチームは、「集合住宅で馬を飼う」という発想からスタートしました。「動物と触れ合うことで、町や住宅地を分断している見えない壁を取り払う」というコンセプトで、集合住宅に“ケモノ道”を設置。沿道には、うまカフェやニワトリ小屋、市場などが点在し、“ケモノ道”を通じて住民同士の絆を深める仕掛けになっています。

澤坂 茉歩

さらに、“ケモノ道”は集合住宅の敷地内にとどまらず、町へとつながっているのもポイントです。例えば、地域の方々が当番制で馬の散歩をすることで、住民同士の交流を生み出すことができます。

包先生

コンペに参加するにあたって提出するシートがあるのですが、このチームのシートはアイデアが生き生きと表現されており、素晴らしい仕上がりでした。

澤坂 茉歩

私はもともと住宅の設計に興味があったのですが、今回のコンペを通して町全体を見据えた家づくりに触れたことで、町づくりに挑戦してみたいという気持ちが芽生えました。

橋口 登偉

授業の課題と違って、コンペは大胆な発想で自由にチャレンジできるのが魅力です。コンペで学んだ柔軟な考え方を、普段の課題にも活かせるようになりました。社会人になれば、知識やスキルのレベルが異なるメンバーと協力して働くようになると思うのですが、後輩たちと一緒に作業をするなかで、その経験を実際に積むことができた点もメリットです。

澤坂 茉歩

橋口先輩の断面図やパースのクオリティの高さには驚きました。“ケモノ道”を通じて集合住宅で過ごす住民たちの姿を描いた絵は、誰が何をしているのかが一目瞭然で、とてもわかりやすかったです。

包先生

橋口君はこの先、東京大学大学院へ進学します。4年生の先輩たちと密に接することで、澤坂さんも卒業後の進路に対する考え方が変わったのでは?

澤坂 茉歩

はい!橋口先輩のように大学院に進学して、より高いステージで設計について学びたいという気持ちが湧いてきました。
5

設計のスキルアップにつながるだけでなく、
チームワークの大切さを学べるのが魅力!

作品名:【身土不二】
コンペ:「第18回 長谷工住まいのデザインコンペティション」

包先生

岡君たちのチームがテーマに掲げた「身土不二(しんどふじ)」は、2年生の班長 土屋さんが提案したもので、“身=人間の身体”と“土=暮らす土地”は切り離すことができない、という意味を持つ言葉。現代社会では、人と土地のつながりが希薄になっています。そこで、土を生活の中心に据えた集合住宅を提案したんだよね。

岡 大悟

はい。私がチームに加わったのは大学院の受験が終わった後で、その時点で「身土不二」というコンセプトはすでに決まっていました。自分の役割は、難しいコンセプトを建築に落とし込むサポートを行うこと。包先生にもアドバイスをもらいながら、最終的には屋根部分を畑にした集合住宅にたどり着きました。

包先生

このチームは人数が多く、アイデアも豊富で、毎週のように設計の方向性がコロコロ変わっていました。そこで、ナビゲーターとして岡君ともう一人の4年生に加わってもらうことにしたのです。その結果、うまくまとまりましたね。

岡 大悟

包先生の指導のもと、2年生の頃からコンペに参加していた経験があるからこそだと思います。チームを組んで早い段階からコンペに挑むことができたことは、成長の大きな糧になったと実感。設計のスキルアップに役立つだけでなく、チームワークの大切さを学べたことも収穫です。

包先生

岡君は、このコンペに参加するのは3回目で、年々着実に成長を遂げています。

岡 大悟

ありがとうございます。実際、コンペの前後で自分の考え方やアプローチの仕方に大きな変化がありました。パースの描き方も、かなり上達したと実感しています。学年を越えてチームを組めるのも、大きなメリット。2~3年生の頃は先輩たちから多くのことを学ぶことができ、授業の課題の完成度を高めることができました。
6

「建築と光」という建築の永遠のテーマに挑み、
「建築新人戦2024」ベスト100に入選!

作品名:【無意識の意識化:イサムノグチ記念館】
コンペ:「建築新人戦2024」

横内 稀人

私が参加したのは、“建築学生の登竜門”として有名な「建築新人戦2024」。20世紀を代表する彫刻家として有名なイサム・ノグチの作品を魅せる建築について考え、光をキーワードに作品を完成させました。

包先生

「建築と光」は、建築の永遠のテーマのひとつです。なぜなら、光は単に空間を照らすだけでなく、その見せ方によって、豊かな空間を得られるからです。例えば、光が上から、横から、下から差し込むだけで、彫刻作品もまったく違った表情を見せてくれますからね。3年生のうちからそこに目を向け、光の可能性を追求しようとする姿勢は本当に素晴らしいです。

横内 稀人

さまざまな光を採り入れることで、イサム・ノグチの作品がより引き立つ建築を目指しました。「無意識の意識化」というタイトルにしたのは、普段無意識に受け入れているものを意識して捉える大切さを表現したかったからです。私たちは目の前の「机」を「机」として認識しますが、光がなければその形や質感はわかりません。しかし、ほとんどの人は光を意識することなく、机の存在だけを受け入れています。無意識に受け入れているものを意識的に捉えることで、新たな価値や美を見つけることができるでしょう。

包先生

横内君の熱い想いが凝縮された作品は、「建築新人戦2024」ベスト100に入選。よく頑張りました!

横内 稀人

入選したことはうれしかったのですが、同時に優れた作品をたくさん目にして、自分の実力不足を痛感しました。また、コンペの締め切りに向けて作業を進めていくなかで、スケジュール管理の大切さを実感。図面を描いたり、模型を製作したりするのに、想定よりも時間がかかってしまいました。

包先生

将来、プロの建築家として活躍していくうえで、スケジュール管理はとても重要です。コンペに挑むことで、限られた時間内でアイデアを具現化し、提案のクオリティを高めるスキルが身につくでしょう。

-担当教員 包教授からのメッセージ-

 建築新人戦は8-9月、長谷工川住まいのデザインコンペは9月から11月までに実施されます。学生たちは夜遅くまで頑張らなければなりません。一方で、指導する教員もその分熱が入ります。長谷工川住まいのデザインコンペは、2023年度では長瀬信博先生と、2024年度は堀口譲司先生と一緒に指導しました。

  • なぜ、このような取り組みをするのか狙いは3つあります。
    1つ目は大和大学の教育理念・建学の精神である「大志をまとえ」の教育目標実践です。2020年に創立されたばかりの本学部建築学専攻。
    全国デザインコンペをに参加してすることで、教員の教育、学生たちの学びは全国レベルで通用するのか、一目瞭然になります。先輩がいないことを逆手にしとって、全国の受賞作品を自分たちの「先輩」の作品としにして、猛勉強します。第16、17回目の長谷工住まいのコンペでは、京都大学と並んで、応募案数は全国3位。

2つ目はチームワーク力です。建築は一人でできるものではありません。コミュニケーション力、結束力、トラブルを回避する能力が必要になります。それもチームワークで育てます。実際、もともと仲良い友達がで同じチームにを組むことが多いですが、それでも意見が真反対になっ対立したりして、どう寄り添い合うのか、勉強になります。

3つ目は、学生一人ひとりに自分の進む方向性を見出してもらいたいことです。今年も1年生から4年生までの約60人の学生が参加しました。作品を提出した後に学内でコンペシートを展示して、学生と教授による投票で学内賞を選出しています。低学年でも、コンペに参加して、自分の努力が認められ、自分の能力や特徴を認識したうえで将来を展望していただきたいです。
このような大掛かりな取り組みは、理工学部のすべての教員、職員の全面的なサポートなしでは叶えません。ありがとうございました。

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