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ニュース: 政治経済学部

<政治経済学部>川崎重工業・顧問で新産業創造研究機構・理事長の牧村実先生を招いて実学講座を開催しました。

2025年12月25日

川崎重工業の常務取締役として技術部門を統率され、現在は、同社顧問、及び、2つの公益財団法人「新産業創造研究機構」「ひょうご震災記念21世紀研究機構」の理事長などを務めておられる牧村実さんを講師に迎え、12月10日、政治経済学部1年生を対象にした実学講座が開催されました。牧村実先生のご登壇は今回で7回目となり、毎回、社会課題の解決に挑む川崎重工業の最新の取り組みをご講義いただいています。 今回の講座では、製品・サービスの開発事例を通して、「総合技術力を結集し、テクノロジーの頂点を目指す」「パートナーと協力し、難題を乗り越える」「社会課題に挑戦し、未来を切り拓く」という、同社の経営思想をご紹介いただきました。

  • 総合技術力を結集し、テクノロジーの頂点を目指す:「モーターサイクル」

フラグシップモデル「Ninja H2」の開発では、ライダーが求める「操縦性」「デザイン」「安定性」「サウンド」など、さらに、「パワー性能」と「環境性能」など、互いに相反する要素を同時に満足させる必要があった。総合重工メーカーである同社は、航空機・航空エンジンなどで培った高度な技術を結集することで、この困難な課題を解決し、カワサキブランドを牽引するマニア垂涎のモデルが誕生した。

  • パートナーと協力し、難題を乗り越える:「ヘリコプター」

同社がエアバス社と共同開発した「BK117」は、医師を乗せて傷病者のもとへ向かう救急医療用ヘリコプター「ドクターヘリ」として、全国で運用され多くの命を救っている。BK117は、同社が持つ「メイン・ギア・ボックス」「機体設計」技術と、エアバス社が持つ「高性能アビオニクス」「低騒音テールローター」技術という、「お互いの強み」を活かすことで開発された。これは、パートナーに対する強い信頼がベストセラー誕生の礎となった好例である。

  • 社会課題に挑戦し、未来を切り拓く:「ロボット」「水素」

[ロボット]

1968年に日本で初めて産業用ロボットの製品化に成功した同社は、現在に至るまで、様々な分野へロボット利用を展開している。現在、日本では「医師の負担増加」「医療の地域間格差」が社会問題となっているが、同社が開発した手術支援ロボット「hinotori」は、同社がもつ高度なロボット技術を外科手術分野に適用したもので、「遠隔ロボット手術・指導」の実証試験から「遠隔ロボット手術」につなげ、地方における医師不足の解決を目指している。医療ビジネスとしても、2020年に日本国内での製造販売承認を泌尿器科領域で取得、同年に第一症例を実施。以降、国内では消化器外科、婦人科、呼吸器外科にて保険適用が拡大、海外ではシンガポールおよびマレーシアの販売承認を取得し、国内外の病院で導入が進むなど、hinotoriの特徴である低侵襲性(開腹せず手術できる)が、患者の負担を大幅に軽減するとともに、医療現場変革の推進力のひとつとなっている。

[水素]

エネルギーの大部分を海外に依存しているという「エネルギー問題」、CO2排出に伴う「地球環境問題」。これらを一挙に解決できる切り札のひとつが「水素」である。同社は、水素を「つくる」「はこぶ・ためる」「つかう」という国際水素サプライチェーンの構築を世界に先駆けて提案した(牧村先生が同社における立役者)。

同社はLNG(液化天然ガス)のビジネスで培った、大量のガスを極低温で液化して海や陸で「はこぶ・ためる」技術や、発電などで「つかう」技術においてコアコンピタンス(強み)を有しており、国際水素サプライチェーン構想を提案することができた。技術のハードルは極めて高かったが、ブレークスルーに成功した。ただ、それだけでは未開拓のビジネスの荒野に挑むことはできない。このような野心的なエネルギービジネスを実現するために、「国際的な実証プロジェクトの提案・参画」「国際ルール作りをリード(ルールを押し付けられるのではなく)」「液化水素運搬船に関する国際機関の承認(グローバルスタンダード取得)」などの取り組みを重ねている。そして、忘れてはならないのは、このような世界的プロジェクトでは、国や産業を越え、国際メジャーとも連携した仲間づくりが、とても重要だということだ。

現在、同社を代表企業とする共同企業体が、世界に先駆け、商用規模の液化水素基地を日本国内に建設する計画が進行するなど、水素社会実現に向けた同社の取り組みが加速している。

  • 学生へのメッセージ

同社のようなメーカーには、技術者だけでなく、「人事」「財務」「経理」「総務」「経営企画」「営業・受注」「資材調達」など、皆さんのような文系の方が担う重要な役割がたくさんあります。確かに技術は重要であるが、もっとも大事なのは「人」。「未来志向で改革を意識する人財」「例題を”解く”のではなく自ら例題を”つくる”人財」「成功体験を重ねてリーダーとなりチームを成功に導く人財」となり、高いゴール目標に向かって「チームで響き合う」ことが極めて大切です。

[学生から寄せられた感想より]

・水素社会の実現に向けた、他企業とは一線を画す取り組みなど、世界のスタンダードを目指すという信念に感動しました。

・牧村さんの「自分が考えた計画が実現すると胸が熱くなる」という言葉が印象に残り、普段からの生活でも計画を持って生きていけば、思い通りにうまくいったときに胸を熱くできるのかもしれないと思いました。

・常に変化し続けている世界の中、未来志向で、共に変わり続けるように改革を意識して、失敗しても様々な経験をしていきたいと思いました。

・一つの技術を別の分野に応用して新しい価値を生み出している点にも感動しました。“別物”だと思っていたものが実はつながっているということに驚きと感動を覚えました。

・企業としての社会的使命感や私たち自身がこれから直面する課題に対して解決策を出だそうとしていることに感心しました。

・最先端の技術は一見華やかに見えますが、その実現までには多くの試行錯誤や地道な改善が積み重ねられているという説明をお聞きし、ものづくりの現場の厳しさと奥深さを感じました。また、失敗を恐れず行動し続ける姿勢が新しい価値の創出につながるという考えは学生の自分にも大切な視点だと思いました。

・川崎重工の総合技術力に圧倒されました。「hinotori」や水素事業といった、人の命と未来に直結する課題解決に本気で取り組んでいる姿勢に感銘を受けました。

・課題に対してそれぞれの立場で真剣に解決に向けて努力し、チームで響きあうという言葉がすごく心に沁みました。「人」という資源が大事であり、常に改革を意識した人材が集まれば、どんな課題でも解決できるのだと学びました。

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