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最先端の構造材料の可能性を広げ、
航空機や自動車の未来をつくる

成田 吉弘教授

理工学部 機械工学専攻
研究テーマ

CFRP(繊維強化プラスチック)」の
構造解析や最適設計

金属に代わる最先端の構造材料として注目を集めている「CFRP(繊維強化プラスチック)」。世界シェアの7割が日本製とされるほど、我が国は「CFRP」の技術で世界を大きくリードしています。近年注目が高まりつつある最先端材料の、構造解析や最適設計の研究を手がけているのが成田教授。「CFRP」のさらなる可能性を追求することで、航空機や自動車の未来を創造しています。

航空機や自動車の燃費向上を実現する、
金属に代わる最先端材料「CFRP」

カーボンと樹脂を組み合わせてつくられた複合材料の「CFRP(繊維強化プラスチック)」。もともとは、テニスラケットやスノーボード、ゴルフシャフトといったスポーツ用品の素材として使われていましたが、近年は航空機や自動車などの構造材料として高い注目を集めています。
「航空機の主翼や胴体、自動車のボディの素材として使われており、実はボーイング787の機体の50%は『CFRP』でつくられています」。

「CFRP」の大きな特長は、軽くて、強くて、腐食しないこと。そのため、省エネと快適性の観点から、金属に代わる最先端の構造材料と言われているのです。
「金属よりも軽くて強い『CFRP』を使用すれば、航空機や自動車の燃費を大きく向上させることができるでしょう。つまり、『CFRP』の普及は省エネルギー化の実現に直結。限られた資源を次世代につないでいくうえで、この最先端の構造素材は欠かせないと言えるのです」。

ただし、これまでの金属部品を「CFRP」に置き換えれば済む、という単純な話ではありません。
「金属は、どの方向に負荷がかかっても同じような特性を示す等方性の素材です。いっぽう、『CFRP』には繊維が伸びている方向への強度が高く、繊維を横切る方向への強度が低い、異方性という特性があります。つまり、『CFRP』の普及を進めていくためには、力学的観点から緻密な計算が必要とされるのです」。

構造解析や最適設計の研究を通して、
「CFRP」のさらなる普及を実現

機械材料として長い歴史がある金属と違い、「CFRP」は実用化されてから日が浅い素材です。そのため、耐久性や加工性などをはじめ、まだまだ未知数なことがいっぱい。そんななか、成田教授の研究室では『CFRP』に振動や荷重を与えた際にどのような影響が出るのかなどを調べる、構造解析を行っています。

「具体的には、数値解析手法の一つとして知られる有限要素法を利用して、コンピュータによる数値解析を行っています」。

また、与えられた条件のもとで、どのように『CFRP』を活用すればパフォーマンスが向上するのかを調べる、最適設計の研究にも携わっています。
「すでに航空機などに『CFRP』が採用されていますが、まだまだ未知数の素材ということもあって、安全性を考慮するあまりに使われ方に無駄が多いというのが現状。構造物に合わせて最適に材料を仕立てていく『材料のテーラリング』を行う必要があるのです。異方性という『CFRP』ならではの特性を活かし、求められる形状や支持条件のもとで、ベストな性能を発揮できる設計を追求しています」。

成田教授の研究室では、研究を進めるなかでさまざまな道具や装置を利用します。例えば、学生たちは「力のつり合い実験キット」を使って、いろいろな形状物の重心位置の決定や力の合成と分解、力のつり合いについて学びます。
「また、最先端の技術を使って実験ができるよう、3Dプリンターを複数台導入しました。そのほか、大学の実習工作室に設置されている、実際に起きた過去の地震波を再現できる『永久磁石3次元地震波振動台』を活用して実験を行うことも可能。『CFRP』で製作した構造物の数分の1サイズのモデルが、振動によって『どう壊れるのか』『どこまで壊れるのか』をリアルに知ることができるでしょう」。

「CFRP」の可能性の追求が、
航空機や自動車の未来を創造

成田教授が携わっている研究を一言で言うなら、金属に代わる最先端の構造材料『CFRP』の可能性を広げていく研究です。未知への挑戦ということもあって、決して簡単ではありません。ただ、構造解析や最適設計は理詰めの世界。研究を通して導き出したデータは嘘をつかない点が、おもしろいといいます。

「結果をもとに何をどう改善すればいいかを検討し、アクションを起こし、さらに改善を繰り返していくことで、一歩ずつ着実にベストな答えへと近づくことができるのです」。

しかも、成田教授が手がけているのは、航空機や自動車などの省エネルギー化の大きなカギを握る研究。持続可能な社会を未来へ引き継いでいくうえでも、重要な役割を担っていると言えるでしょう。

「航空機をはじめとする『CFRP』構造物の解析方法を発展させ、異方性を上手に活用した最適設計が行えるようになれば、『CFRP』の可能性はさらに広がっていくでしょう。研究を通して世界的に注目が高まっているSDGsに貢献できることも、大きなやりがいにつながっています」。

また、「CFRP」の解析方法の発展や最適設計の進化は、金属では強度的に実現できなかった設計やデザインを叶えられる可能性を秘めています。
「もしかしたら、航空機や自動車のカタチを、現在のものとはまったく違うものに変えることができるかもしれません。『CFRP』の構造解析や最適設計の研究には、無限のポテンシャルが広がっていると言えるでしょう」。

プロフィール

成田 吉弘 教授

理工学部 機械工学専攻

北海道大学大学院工学研究科機械工学第二専攻博士後期課程修了。北海道工業大学機械工学科や北海道大学大学院工学研究科の教授を経て、現在は北海道大学名誉教授や大和大学の教授として活躍。日本機械学会名誉員、日本複合材料学会フェローも務める。

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